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18 4月, 2014

ギャラリー・間「乾久美子+東京藝術大学 乾久美子研究室 展―小さな風景からの学び」レポート

4月18日から東京・乃木坂のTOTOギャラリー・間で始まる「乾久美子+東京藝術大学 乾久美子研究室 展―小さな風景からの学び」の内覧会に行ってきました。
[Exhibition "little spaces Kumiko Inui + Tokyo University of the Arts Inui Lab" ]

 建築模型や、作品のスケッチや図面も、迫力ある1/1再現モデルなどが一切ないというギャラ間では異例の展覧会だ。


 内覧会に先立って行われたプレスカンファレンスでは、乾さんより冒頭「地味!」「スペクタクルじゃない!」といったユニークなプレゼンが行われた。
プレゼンによって今回の展覧会の意図が明確になった。


 そこで本展の見方を紹介。
会場に入るとひたすら写真が壁に並んでいる。その一枚一枚を見ると、何となく近くに似たような写真が並んでいることに気付く。 


 壁に貼られた写真はaからvまで22のグループ分けがされている。


 それぞれのグループの足元にはボードが置いていあり、グループがさらにいくつかのキーワードに分類されたユニットになっていることが分かる。


 例えば左の2枚の写真は、aグループ「並び方」の、1ユニット「一糸乱れぬ並び」。
右の2枚は、aグループ「並び方」の、2ユニット「取り囲む」。
と分類されている。


 中には有名な建築もあるが、建築やデザインがどうのということではなく、あくまでも現象として捉えてある。
例えばこちらSANNAの "金沢21世紀美術館” や、シーラカンスK&Hの "金沢海みらい図書館” のこのカットは、tグループ「みち」の、10ユニット「何かに沿ってのびる」に分類されている。


 グループ毎の詳しい説明は会場で頂けるフライヤーに詳しく書かれている。このフライヤーは会場の展開図になっているので、折るとギャラ間の壁面が出来上がる。


 さらに会場には、展覧会に合わせてTOTO出版より発刊された「小さな風景からの学び」が置いてあるので会場の写真と照らし合わせながら閲覧できる。もちろん購入可能。


 きっかけはこの一枚。震災後、乾さんが陸前高田の様子を見に行ったとき、仮設住宅の奥の藪を抜けた先に津波で流された市街地を見下ろせる場所があった。そこには2脚の学習椅子が置いてあり、かつての生活に思いをはせる小さくもとても大切な場所になっていた。痛切だが穏やかで包み込むような優しさに心を動かされたという。
「自分は建築家としてこんなに密度のある空間を作ることは出来るのだろうか」と思いはじめた。


 事務所では近年 “延岡駅周辺整備プロジェクト” を受け、そもそも「何をつくるのか」「なぜつくるのか」といった人が集まることに対する根源的な提案が問われることになってきた。
そうしてこうのような小さな読み人知らずの「いきられた場所」を日本中に探し求めるリサーチを開始した。


 藝大の大学院生と助手、事務所のスタッフ2名も加わり、少しのルールを設けながら撮った写真は18,000枚。訪れたのは45都府県。


 始めは和気あいあいと進む分類作業も...


 来る日も来る日も写真を眺めては分類を繰り返し、険悪な雰囲気になることも


 しかし途中から、特に言葉を介さなくても「いいよね」と意見が一致する瞬間が増えてきた。


 そうして分類された「魅力的」な写真は2,300枚に絞られ展示されている。
では「魅力的」なのはなぜか?
そこに「サービス」という概念を導入することで整理できたそうだ。


 自然から得られているものや、現象をあえて「サービス」として捉えると、魅力ある風景はサービスが良く、サービスの連鎖反応により「萌え」を感じることに繋がっているという。


 会場はシンプルな構成だが、写真の風景を再現している箇所がある。
分かりやすい4階会場のカーテンは...

 こちら。 


 他にも、


 これらも。10個ほどあるので写真の中から探して楽しむことが出来る。


 乾さんと、事務所スタッフ、藝大大学院生、助手の10名がプロジェクトに参加した。


乾久美子さん。「このリサーチを終え、具体的にどのように活用するかはまだ明確ではありません。今は途中経過の報告ということになります。」
「膨大な数の写真ですがとても味わい深いものになっています。4階も写真ばかりですが、実はaから最後のvに進むにつれ「いい風景=ほっとする」写真にどんどんなっていきます。それはより身近でありながら見落としがちな風景なのかも知れません。是非時間を掛けてじっくりご覧下さい。」

【乾久美子+東京藝術大学 乾久美子研究室 展―小さな風景からの学び】
会期:2014年4月18日〜6月21日
場所:TOTOギャラリー・間
詳細:www.toto.co.jp/gallerma/ex140418/index.htm



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17 4月, 2014

堀部直子による「White Rose English School」

堀部直子+Horibe Associates architect's office(Naoko Horibe + Horibe Associates architect's office)による「White Rose English School」の内覧会に行ってきました。
場所は大阪・高槻市駅より徒歩15分。

建築面積 204.17m2、延床面積 578.53m2、RC造 地上3階建て、子供の英会話学校。
敷地は高槻城跡公園から北に位置し、公園の緑を半円の窓からファサードに取り入れたデザインとなっている。

 
アプローチ
駐車場スペースはゆったり設けてあり、子供たちを送迎する保護者のために敷地内を車が通り抜け出来るようにデザインされている。


エントランス
子供たちが安全に送迎バスや車に乗り降りが出来るように乗り場スペースも十分に確保している。


玄関ホール


一階待合い室


吹き抜けの階段


ホール / 三階へと続く階段


ホール


ホール


ホールから階段を見る
Rの階段が遊びの空間をつくっています。
角は全て面取りが施され、子供に優しい造りとなっています。


教室1
採光は足元から


教室2
子供のスケールで作られた家具が小さく可愛らしい。


Rが効いた階段
半円の窓とトップライトから自然光が入ってくるので、とても明るい。


階段を登りきると廊下から北側に隣のグランド、その奥には高槻城跡公園の緑を望むことが出来る。


他の堀部さんの建築にも見られる建物内にのぞく小窓。


コンセントやドアノブの高さなどが高い位置に配置しているのは、子供の手が届かないように配慮されている。


教室4、5
必要に応じて真ん中で間仕切りが出来るようになっている。


教室5


北側の吹き抜けの階段からは教室の中の様子を見る事が出来る。

東側ファサード

北側ファサード
風の抜け道をつくり、熱が籠らないように窓が開閉出来るようになっている。

グラウンドから見たホワイトローズ・イングリッシュスクール

ホワイトローズ・イングリッシュスクール特設サイトはこちら
特設サイトでは、建築家の堀部氏による「デザインの背景」設計に対する考えや想いが綴られており、施主であるホワイトローズ・イングリッシュスクールの校長ジェレミー・ドゥリアー氏からは「英会話学校への想い」、施工を担当した株式会社小阪工務店から「施工のこと」、照明デザインを担当した大光電機株式会社から「照明のこと」、標識のデザインを担当されたグラフィックデザイン会社のオットーデザインラボ株式会社から「サインデザインのこと」など、丁寧な解説とそれぞれの想いが寄せられている。

『今回の計画では英語を学ぶ子どもたちの「楽しさ」や「面白さ」を看板や文字で説明するのではなく、建物自体で表現できればと考えました。完全な円ではなく半円をデザインに取り入れることで英語を学び将来へ、世界へ繋がっていく可能性を表現し、大きく跳ね出したデザインは子どもたちの溢れんばかりのエネルギーや躍動感を表しています。』
建築家・堀部直子氏

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15 4月, 2014

田井勝馬による「八王子の家」

田井勝馬建築設計工房 (Katsuma Tai / Tai and Associates) による「八王子の家」の内覧会に行ってきました。東京・八王子駅より徒歩数分の場所。

 敷地面積103m2、延床面積203m2。RC造2階建て。ご夫婦+子供が住まう住宅の建て替えだ。


 右隣にはご両親の住まい兼施主の勤務する病院。建物のプロポーションや出幅を同じにしたりエントランスのタイルを統一するなど一体感を持たせた外観にした。


 縦格子の扉を開け中へ。


 一歩踏み入れると中庭。これから美しい金明孟宗竹が植わる予定だそうだ。右側が玄関で、正面は勝手口。


 玄関へ。


 玄関を入るともう一つの中庭が現れた。隣の両親宅へと通じている。
正面はLDKへ。

 LDKへ進むと天井高5.6mの吹き抜け空間。


 2段掘り下げたリビングには作り付けのソファーと薪ストーブ。右の壁には黒大理石。大開口の向こう南側には、ソファに座ると目線の先にちょうど現る位置に起伏のある庭を設けた。


 桃とドウダンツツジは、建て替え前の庭にあったものを植えた。


 リビングに対峙するように大きなキッチン兼ダイニング。天井はエントランスから一続きのナラ材、床はウォールナット。


 船が好きな施主のために2階への階段や手摺りは、タラップやデッキのイメージ。




 2階へ上がるとキャットウォークに大きな書棚が作り付けてある。正面の扉を開けると水回りや子供室となる(右の扉からも子供室へ入れる)。左は3つの個室に通じる。まずは左へ。


 明るく開放的な空間から一転、光量を抑えた落ち着いた空間。階段の手前左に主寝室、上は収納用ロフト、右奥は和室。正面の鏡は扉になっている。


 鏡の扉を開けると中は書斎。「隠し扉が欲しい」という施主の希望に応えたかたちだ。


 主寝室。北側にあるが、バルコニーの白い壁が光を受け室内をやわらかい光で包み込む。


 窓ごしに感じることができる縦の抜け感。


 こちらは和室。中庭を挟んで浴室。雪見障子を上げると孟宗竹を眺めることができる。


 キャットウォークに戻って、左へ入る。


 書棚の間を入って見返す。左が子供室で、右が水回り。
懐かしい感じのする柄のガラスは建て替え前の家のものを流用している。

中庭を見下ろすバスコートから。
「設計するに当たり、仕事場が近い施主が無理なくオンからオフに切り替えられることが出来るような空間を目指しました。仲が良くいつも出入りする両親宅との関係性がこの家をより表情豊かなものにしてくれると思います」と田井勝馬さん。



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