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26 3月, 2012

寳神尚史/日吉坂事務所による「House I」

寳神尚史/日吉坂事務所 (Hisasi Houjin/Office Hiyoshizaka) による吉祥寺の住宅「House I」のオープンハウスに行ってきました。


敷地面積420m2、建築面積168m2、延床面積292m2、木造2階建て。4人家族が住まう住宅兼、漫画家である施主のアトリエが併設されている。
切り妻屋根の3つのボリュームが連なるように見える正面外観。中央は2台分のガレージ、右側がエントランス。

引き戸が沢山あるエントランス周り。シマトネリコが植わる。

エントランスホールを抜けると一段下がったリビング。中央には現しにした大黒柱。奥のフロアから連続する収納兼腰掛け、小さな窓、ランダムにボックスが納められた棚、複雑に切り替えした面構成などで豊かな表情を演出。

左の収納・AVラックは中庭まで連続。庭に植わるのは庭木には珍しい一本立ちのシマトネリコ。

見上げると吹き抜けになっており、右上は子供室、左上は秘密の小部屋、左下は奥さまの作業室の開口。

大きな暖炉はオーブン付き。


キッチンには二つの表情が。左は家庭的なキッチン、右はカフェの厨房。

ダイニングの背後は敷地の一番奥。デッキを張ったテラスと庭。

奥さまの作業室は家の中心に位置し、庭と仕事場、リビング、ダイニング、2階の子供室と通じることが出来る言わばこの家の "司令室"。


ここで一度説明すると、
この家の1階は、中庭とガレージ (グレーのドア) を囲むように "コ"の字型をしており、玄関・納戸 → 渡り廊下 → リビング → 暖炉・司令室 → ダイニング・キッチン → 曲がって 収納・廊下 → 書庫・読書室 → 曲がって 渡り廊下 → 螺旋階段 → アトリエ玄関→アトリエ。という複雑な要素を3つのヴォリュームと渡り廊下で接続した構成。

渡り廊下を越えると仕事場へ。螺旋階段を上がると打合せルーム、下るとご主人の書斎。

アトリエ。

暖炉まで戻り2階へ。実は階段が4箇所もある。

2階サンルーム。 右側は寝室と水回りへ。

左の窓は暖炉の "煙突室" 、奥は子供室、右の切り込みは秘密の小部屋 (屋上への階段室)。

子供室。右に少し見える開口からリビングに通じる。

リビングを見下ろすと、なるほど司令室のお母さんが見える。

寝室。

水回りや物干し部屋。



寳神尚史さん。「家を形作る要素"外観"、"構成"、"構造"。このどれかかが単一の特徴として飛び出さず、三つ全てが特徴的な家は作れないかと模索しました。あるように見えることは易しいことですが、あえて分かりやすくない、主題が見えにくい、しかし三つの関係性が楽しく感じられるよう目指しました。」


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24 3月, 2012

成瀬・猪熊建築設計によるシェアSOHO「THE SCAPE [R] 」

成瀬・猪熊建築設計によってリノベーションされたシェアタイプSOHO「THE SCAPE (R) 」のプレス内覧会に行ってきました。場所は渋谷駅から15分ほどの学校が多いエリア。

建物は2005年隈研吾さんの設計により完成した高級賃貸アパート「THE SCAPE」。近年のライフスタイルの変化によりこのほどリノベーションされました。

エントランスのガラスには手書きされた「THE SCAPE (R) 」のロゴ。"R"はRebornから。

以前深めに取ってあった駐車スペースを前に寄せ、セキュリティ万全の駐輪場を設置。

エントランスロビーにはコンシェルジュのカウンターを新設。背後にはエキスパンドメタルに掛けられたセキュリティ用にモニタリングするiPad。手前は今回成瀬・猪熊デザインの五角形テーブルを置き待合いスペースに。

2階「フリーアドレスSOHO」は長テーブルに最大10人掛け。フリーなので空いているところを自由に利用できる。料金は月7,000円〜。

いくつかの場所にあるカーペットにはペンキを塗り込み独特の風合いに仕上がっています。

2階「マイルームSOHO」は1部屋貸し。こちらは特にインテリアに手は加えずほぼオリジナルの状態。月250,000円〜

3階「マイデスクSOHO」 は専用の机を持つことができる。月35,000円。

オリジナルのインテリアとは対照的に素朴で素材感のある仕上げを意識したそうです。この照明のレールは鉄製。

部屋の一角にはソファーとコーヒーテーブルを設置。ソファーの後ろはウォークインクローゼットを利用したロッカー室。

階段室はオリジナルのまま。4階へ。

4階パブリックラウンジは以前家賃150万円の部屋のLDK。打合せや交流の場でありながら、イベントや撮影に貸し出すことも可能だそうです。

天井の円形の凹みにはオリジナルではLEDの間接照明でしたが、意匠として白熱灯を見せ、合板を貼り込み素材感をアクセントに。

こちらにも五角形テーブル。このテーブルを合わせると大きな六角形のテーブルになるそうです。

テラスのベンチ、テーブルは成瀬・猪熊デザイン。また植物も新たに植え替えました。

最後に5階ペントハウスへ。

5階ペントハウスには5人掛けの長テーブル。

テラスには4階とは異なる雰囲気の植栽。

東向きの全面開口、目の前は常陸宮邸の森が借景という渋谷とは思えないロケーション。

夕方からは成瀬さん、当ビル運営会社のThink Green Produce関口正人さん等によるトークセッションが開催。


成瀬友梨さん。「はじめ隈さんの名建築をリノベーションすることでとてもプレッシャーを感じました。隈さんに直接今回のプロジェクトを引き受けたことを報告したところ『そうか!がんばってね!』と笑顔で背中を押していただき、それから楽になり自分たちの表現ができました(笑)。インテリアはまだまだきれいだったので、何もかも変えるのではなくクールな印象のオリジナルの要素を残しながら、素材感のある材料を使いRebornさせました。」

詳細:THE SCAPE (R)

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17 3月, 2012

「超群島 - HYPER ARCHIPELAGO」展レポート

3月11日より開催の、飯田高誉さん、藤村龍至さんによる「超群島 - HYPER ARCHIPELAGO "3.11以後、アーキテクト/アーティストたちは世界をどう見るか?"」プレスカンファレンスに行ってきました。


会場はオランダのMVRDVによって設計された表参道GYRE内のギャラリー「EYE OF GYRE」。

今回の展示は、2009年「ARCHITECT 2.0 -WEB 世代の建築進化論」、2010年「CITY 2.0 -WEB世代の都市進化論」等と続くシリーズの潮流を受け継いでいる。

今回も企画飯田高誉さん、キュレーション藤村龍至さん。
「3.11という歴史的事象から1年たった時を迎え、今後日本が目指すべき道筋に必要なグランドデザインや意思決定のイメージを提示しようとする 『アーキテクト/アーティスト』たちに問いかける展覧会。日本という国の存在をメタレベルで捉え、新たなインフラのネットワークから立ち上がる『超群島 Hyperarchipelago』ともいうべき構造を浮かび上がらせることを試みる。」(リリースより)

出展者は11組。大庭大介 "FOREST" (左)、石井七歩 "理想惑星 (分岐してゆく)" (右)

中央にはスプツニ子! "菜の花ヒール - Work in Progress"

スプツニ子!さん

奥はチーム☆ラボ "グラフティ@グーグル"


田尾松太+井口美香/SAM "建築家たちのための余白"

藤村龍至 "雲の都市 2012"

藤村龍至さん

dot architects + 水野大二郎 "インクルーシブアーキテクチャー"

キュルル feat.チハルチロル "ひかりのありか"

mashcomix+TEAM ROUNDABOUT "戦後建築史マンガ"

403 architecture (dajiba) "浜松の展開図"

403 architecture (dajiba)

奥の暗室では磯崎新 "神話構造線"


「本展では世界を見渡すだけでなく、よりよい世界に向けて展望を示す作品を中心に選定しました。そして集まったアーティストたちをあえて"アーキテクト"と呼び、作品をあえて"プロジェクト"と呼ぶことで、今日の政治的状況にひとつのイメージを与えることが出来ればと思います。」と藤村龍至さん。
それぞれの作品はどのような意図が込められているか、ぜひ会場で確かめてみてください。

【超群島 HYPER ARCHIPELAGO】
会期:2012. 3. 11 〜 4. 16
会場:EYE OF GYRE/表参道GYRE 3F >>
詳細:>>

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