12 12月, 2014

クライン ダイサム アーキテクツによる「湘南T-SITE」

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)企画運営の複合施設「湘南T-SITE」内覧会に行って来ました。蔦屋書店を中心とした30のショップやレストラン全てのショップに本があり、書店と専門店がシームレスにつながっているのが最大の特徴だ。全体の設計は代官山T-SITEと同様クライン ダイサム アーキテクツ(以下KDa)が手掛けた。

敷地面積約14,100m2、延床面積約7,400m2。鉄骨造2階建て。
広大なパナソニックの工場跡地にできた藤沢市の「FujisawaSST/藤沢サスティナブル・スマートタウン」に位置する。


1〜3号館まであり、1号館はENTERTAINMENT、2号館はFOOD/LIFE、3号館はFAMILY/Fujisawa SST SQUAREとそれぞれのテーマに沿って構成されている。


門型のボリュームをずらして配置している。周辺の住宅環境に配慮し、大きな塊に感じさせないようなヒューマンスケールを意識した。


1号館と2号館の間がメインエントランス。






ファサードには蔦屋のツタの葉モチーフにしたFRPタイルをサイズ違いで4種類、4000枚配置した。
ツタの葉モチーフは、代官山T-SITEで採用した 「T」よりも、”ファミリー”、”やわらかい"といった湘南のイメージと合う新たな蔦屋のシンボルとして選ばれたそう。本物のツタも所々にある。


1号館 <マガジンストリート>
湘南T-SITEの3棟を貫く湘南蔦屋書店は、代官山蔦屋書店にあるマガジンストリート(幅4m×長さ55m)のおよそ2倍の大きさ。ライフスタイルを提案する書店として、湘南カルチャーをリードしようという意気込みを感じる。


<STARBUCKS COFFEE>
KDaとスターバックスによるデザイン。




<カメラのキタムラ>
KDaがデザインを担当。コーヒーを飲みながらプリントオーダーやフォトブック作成をすることが出来る。


同じフロアにあるスターバックスよりも営業時間が短いため、カメラ用品からキャッシュレジスターまで、閉店時にはトランクケース型のケースを閉じるだけ、という便利なディスプレイシステムを導入。


スターバックス(手前)とカメラのキタムラ(奥)は、海をイメージした同種類の家具を配置し繋がりを持たせている。


マガジンストリートの突き当たりは数段上がって階段ホール。光り溢れる空間はギャラリースペースを兼ねている。


階段ホールを抜けるとテラス。


太陽光パネルが目前に設置されているが、テラス席からの眺めを邪魔することはない。


階段を上がって2階へ。


1号館2階 <T-SITE Apple Authorized Reseller>
AppleとCCCのコラボで誕生したApple販売店。こちらのデザインもKDaが手掛けた。


Apple販売店では指定の什器が使われるケースがほとんどだが、それらの什器では湘南T-SITEの雰囲気から浮いてしまうという理由からアメリカの本社より特別な承認を得て一からデザインした。


ディスプレイには黒いベルベットを使用。




<T-SITE Apple正規サービスプロバイダ>
KDaがデザインを担当。Apple製品の修理をする場所で、修理を待つ時間も同フロアにある湘南ラウンジで寛ぐことができる。修理店と販売店が横並びになっている構成は世界初。


<湘南ラウンジ>
KDaがデザインを担当。ヴィンテージマガジンに囲まれたくつろぎのスペースで、家具やカーペットは湘南の海、木、空などのイメージで揃えられた。


様々なソファやチェアで寛ぐことが出来る。


ラウンジ内には隣接するApple販売店との境界を曖昧にするかのようにヴィンテージのApple製品も展示されている。写真は1983年発売のApple IIeと1984年発売の初代Mac、Macintosh 128K。


ラウンジには3Dプリンターやレーザーカッター等もあり、Fabスペースとしての利用も可能だ。


湘南T-SITEは屋内・屋外合わせて約300席の椅子やソファが用意されており、施設全体が大きなブック&カフェとなっている。


1号館と2号館をつなぐ渡り廊下にもテラス席が設けられている。


2号館はスローフード&スローライフがテーマ。2階には <ISETAN MiRROR Make & Cosmetics>、<FRESCA>等が出店。


2号館1階 <本と物の店>
自著を出していて、物にこだわりのある人の ”本と物” を扱う生活雑貨ショップ。店舗に入るという気負いが全くいらないこのシームレス感。


3号館は1・2号館とは道路を1本挟んだ場所にある。
子どもと過ごす豊かな時間がテーマであることから、遊具の庭も設置。ランドスケープデザイナーは代官山T-SITEと同じ古内時子を起用している。


3号館1階 <マガジンストリート>


 <湘南料理塾> 
手前のレストラン <WIRED KITCHEN> の前を通って料理教室に入るというユニークな動線。


トイレ前廊下のグラフィック。
ちょっとしたスペースにも楽しさを提供したり、待っている間も退屈させないKDaらしいアイディア。


湘南T-SITEと隣接するスマートタウン戸建地区。100年続くサスティナブルな街づくり計画が着々と進んで行く。


KDaのアストリッド・クラインさん、マーク・ダイサムさん。
「代官山T-SITEのDNAを受け継ぐことが求められました。30のテナントの統一感をディレクションするのは大変でしたが、本とモノとサービスがシームレスに存在する全く新しい文化の発信地が完成しました。湘南の地で3世代に渡り『此処にもっといたい』と感じてもらい、居心地の良い家のように愛され続けてもらうことが一番のサステイナブルだと思っています。」

【湘南T-SITE】



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