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30 10月, 2014

SUEP. による「都市型コンパクトライフのススメ展」レポート

リビングデザインセンターOZONEにて10月16日より開催の「都市型コンパクトライフのススメ展」に行ってきました。
開催概要は、「本格的な少子高齢時代に向けて、現在40歳代からの大人世代が将来をどのように暮らしていくか。大人ふたりが暮らす住宅のあり方について、ケーススタディ、住宅、インテリア等のオピニオンリーダーの考えを提示。およそ50m2の住空間の可能性とコンパクトな暮らしをハード、ソフト、コミュニティの視点で考える。」
[Compact Life- Good Over 50's Exhibition by SUEP.]

幾つか企画展示があるがその中でも末光弘和+末光陽子/SUEP. による提案「リアルサイズ:二人暮らしの50m2」をレポート。


従来型の、1住戸65m2が90住戸程度収まる比較的大きな集合住宅を建てようとした場合、周辺への負荷がが多く歓迎されないが、模型のように30住戸程度の比較的低層の建物を3つに分散させて建て周辺への負荷を減らす。また豪華なエントランスホールなど造らずにその予算で地域に緑道を提供してはどうか、という提案にはじまり。


1住戸65m2のところ、それぞれ10m2を供出すようなかたちで、共有部を広く持たせることでコミュニティの生まれやすい〈ネットワーク型集合住宅〉に。
会場のパネルでは、事業者側と居住者側の費用負担などもシミュレーションされている。

共有部はシェアダイニングや、バーベキューテラス、菜園などを。さらに建物の外周にらせん状のテラスを設け、テラス沿いのアクティビティを誘発させる。


共有部に面しながら、ユニット化した様々な間取りが考えられる。


というアイデアを実物大にしたらどうなるか、というのがこちら。OZONEの展示としては過去最大規模になるそうだ。


住戸の周囲には共有部である回遊テラス。
燃料電池によるエネルギーのシェアや、雨水の循環システムも考慮されている。
(手前のテーブルは空間外の参考用ディスプレー)

回遊テラスからダイレクトに入れる土間のようなダイニングキッチンは玄関を兼ねる。


カフェのように、住人がふらりと立ち寄れるコミュニティの場としても使える。
インテリアコーディネートは荒井詩万さんによる。今回インテリアのキーワードを「上質感」、「自分らしさの表現」とした。


DKからは数段上がってリビングで、寝室、水回りへと繋がる。


リビングからも回遊テラスに通じ、所々菜園があったりする。


ベッドルームと水回りは隣接させコンパクトな動線に。収納もコンパクトで日常使い以外は戸外のシェアロッカールームを想定。
インテリアはパッチワークの壁で自分らしさを表現するのがポイント。


水回りには浴槽を廃し、建物内にある大浴場やジムの大浴槽を利用するが、浴槽付きを選択も出来る。


洗面にはミラー型ディスプレーが備わる。ミラーの隅に建物全体・住戸のエネルギー管理、天気予報、健康管理情報などが表示される。






末光弘和さん。「 “50m2、50代以降の二人の為の集合住宅” というお題ではありましたが、その住戸だけを考え完結しては今までと同じです。コンパクトでありながら豊かな生活は?と考えた場合、地域に開かれた集合住宅というものを提案しました。山本理顕さん達と研究している “地域社会圏主義” での考えを合わせたようなアイデアで、地域・社会と繋がりシェアし合うということが特徴です。」

 【都市型コンパクトライフのススメ展 - 二人暮らしの50m2】
会期:2014年10月16日〜11月11日
場所:リビングデザインセンターOZONE(3F OZONEプラザ)
詳細:www.ozone.co.jp/event_seminar/event/detail/1736.html


連動シンポジウム【大人世代のコンパクトライフを考える】
日時:2014年11月3日、15:30〜18:40
場所:3F パークタワーホール
詳細:www.ozone.co.jp/event_seminar/seminar/seminar_c/detail/1744.html

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「HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION」



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27 10月, 2014

「建築模型とその提案書展」レポート/ TOKYO DESIGNERS WEEK 2014

“天才万博” と銘打ったTOKYO DESIGNERS WEEK 2014。その中の企画展のひとつ「建築模型とその提案書展」に行ってきました。
企画趣旨は「13組の建築家の模型作品と提案書を集めた特別企画展。トップの建築家が考えたアイディアが集約された「提案書」と具現化された「建築模型」を同時に展示することで、立体的に建築プレゼンテーションを紹介。個性あふれる模型作品や様々なアイディアが詰まった提案書は、来場者の感性を刺激するとともに、若手の建築家や 建築を学ぶ学生にエールを送るコンテンツ。」
[Architectural Model and Project Proposal" by 13 "Genius” Architects]

 TDWのHPでも目立っている13組の建築家が一堂に会した “不思議な” 写真。さすがに合成したそうだが実にリアル。


 各展示台にプロジェクトの提案書とその模型が並ぶ。


 実現したもの、計画中のもの、コンペ提案のものなど様々。


 壁には建築家が撮影で着ていた衣装(江幡晃四郎のデザイン)が並ぶ。イメージは「コンクリートの服」で、実際にはコーキング剤を塗り込んで表現してあるので柔軟性がある。


 藤森照信 (Terunobu Fujimori)
奥から〈低過庵〉〈空飛ぶ住宅〉〈ワッフルハウス〉 

 藤本さんの提案書は原稿用紙に文章のみ。 例えば〈空飛ぶ住宅〉では「今回、世界初の空飛ぶ建築の計画に取り組むのは、二つの条件による。まずひとつは、”この世とは別世界のような環境と建築が欲しい” という施主の夢・・・」


 小嶋一浩 + 赤松佳珠子 (Kazuhiro Kojima + Kazuko Akamatsu)
〈木島平ヴィレッジセンター〉

 「役所、ホール、ギャラリー、図書館等が一体となった複合施設。中央のホールを各施設が囲み、様々な活動が行われる。」


 隈研吾 (Kengo Kuma)
中国美術学院博物館

 「杭州郊外、茶畑の山と建築を一体化した、新しいタイプのユニバーシティーミュージアムを計画。斜面を出来るだけ利用した建築をスタディすると菱形のパターンが等高線の中に現れた。」 


 山本理顕 (Riken Yamamoto)
〈ザ・サークル_チューリッヒ国際空港〉

 「延床面積27万m2の7つのモジュールからなる複合施設。空間が様々に変化する路地と広場を持ち、イベントスペース、ショップ、ホテルエントランスなどが面する。」 


 大西麻貴 + 百田有希 (Maki Onishi + Yuki Hyakuda)
〈ひがしねのね〉〈Good Job! センター〉〈目黒区の住宅〉〈千ヶ滝の別荘〉〈東松島 こどものみんなの家〉

 〈ひがしねのね〉「山形県東根市の図書館、美術館の複合施設のPFI事業(建設・運営までを民間の提案者が担う)コンペ案 」

 妹島和世 (Kazuyo Sejima)
〈小平市立仲町公民館・仲町図書館〉

 「住宅地にあり古くなった公民館と図書館を合わせて立て替えるプロジェクト。周辺の住宅のスケールに合わせ、いくつかの小さな建物が寄り添って一つになるような建物。」



 藤本壮介 (Sou Fujimoto)
〈Serpentine Gallery Pavilion 2013〉

 「ギャラリーの前庭に設置される夏のパビリオン。雲のような建築的ランドスケープ、或いは透明な空間的地形。美しい自然と人工的な幾何学が相互に編み込まれたような新しい環境をつくり出した。」 


 展示台の手前(上の写真)では大きな構成をスタディした模型群。奥側には構成が決まった後の形態のスタディ模型群。


 谷尻誠 + 吉田愛 (Makoto Tanijiri + Ai Yoshida)
〈くるりの森〉

「 浜松市の商業施設に設置された、ネットを掛ければ遊具に、家を足せばツリーハウスになり建築と呼ばれるようになる。建築でありながら完成を繰り返していく、森の概念を持つ建築。」 
複雑に見えるが、実は単純なパーツの繰り返しで出来ている。

 伊藤豊雄 (Toyo Ito)
〈(仮称) 新青森県総合運動公園陸上競技場〉

 「20,000人を収容できる競技場。周辺のランドスケープと建築が一体となって、森に続く樹林を思わせるメインスタンドの大屋根をもつ。」


 名和晃平 (Kohei Nawa)
ヘッドマウントディスプレイを覗くと、名和さんの作品がバーチャル空間に現れる。

 平田晃久 (Akihisa Hirata)
〈ツリーハウス〉〈ギャラリー エス〉〈コイル〉

 それぞれのプロジェクトの提案書はめくって閲覧できる。


 膨大な量のサムネイル模型が並ぶ。大きさはまさに親指ほど。


 原田真宏 + 原田麻魚 (Masahiro Harada + MAO)


 左から〈鉄のログハウス〉〈益子町地域振興拠点施設 (仮)〉〈XXXX〉


 石上純也 (Junya Ishigami)
〈House & Restaurant〉


 レストランオーナーの店舗兼住宅として岩のような建築の構想。


地面に竪穴を掘り、そこにコンクリートを流し込む。コンクリートが固まったら土を掘り出す。そうして現れたコンクリートでできた岩のような塊にガラスや建具をはめ込むと建築になる。これでおしまい。」

迫力のある模型や、個性的な提案書は是非会場でご覧下さい。


【建築模型とその提案書展/TOKYO DESIGNERS WEEK 2014】
会期:2014年10月25日〜11月3日
場所:明治神宮外苑絵画館前
詳細:www.tdwa.com/2014/join/architecturemodel_ex.html



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