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26 1月, 2015

「丹下健三が見た丹下健三」展レポート/TOTOギャラリー・間

TOTOギャラリー・間で1月23日より開催の「TANGE BY TANGE 1949-1959 丹下健三が見た丹下健三」展の内覧会に行ってきました。

 「丹下健三の没後10年の節目に開催する本展は、処女作〈広島平和会館原爆 記念陳列館〉(1952年)のプロジェクト開始から初期代表作のひとつ〈香川県庁舎〉(1958年) 完成までの "世界の Kenzo Tange" になっていった10年間 (1949〜59年) に焦点を当て、丹下自らが撮影した35mmフィルムのコンタクトシートを通してその初期像を紹介。」(展示概要より抜粋)


 '53年頃の丹下(撮影者不明)。成城の自邸の工事現場で。


 会場は黒に統一され、一見ランダムに配置されたような展示台の上に多数のコンタクトシートが並んでいる。


 内覧会の前に設けられたプレスカンファレンスで、本展の監修者である岸和郎さんと、キュレーターである豊川斎赫さんより説明があった。


 まず展示の見方。
本展で紹介される15プロジェクトは10年間にオーバーラップしながら進行している。

 会場の平面図。
プロジェクト毎の展示台と、そこに並ぶコンタクトシートが、壁面の年表と仮想の線で区切られながら時系列的に見ることができるという仕掛だ。

 年表と赤い線。


 写真では見えにくいが展示台にも赤い線が引いてあり、年表とコンタクトシートがリンクしている。
会場構成を担当したのは木下昌大。

 次にコンタクトシートの見方。
写真の中には左のように、丹下自らが引いたトリミングラインが見られる。そして右がトリミングされ、雑誌や作品集等で発表された写真。
この写真は広島平和記念資料館本館で、トリミングされることで神殿のような柱と広いピロティで、人々を迎え入れるような対比が強調されている。

 建設中の〈広島平和会館原爆 記念陳列館
右に2本のトリミングラインがあり、丹下の迷いが見られる。
「右の外側のラインの方が(遠景の)建物の棟が入るので切妻屋根だと分かる。しかし内側のラインでトリミングし屋根の形状や大きさが分からなくすることで、当時の文化的な情景を排除し、手前の墓地の風景を強調したかったのだろうと推測できる。」と岸さん。
また「丹下先生は私が建築の勉強をはじめたときにはすでに遠い存在であったが、今回これらのトリミングラインを見て、建築家として同じような意識でいることに触れられ、時を越え先生とコミュニケート出来た気がした。」とも話す。

 左下の桂離宮新御殿は特徴的なむくり屋根を無視して、古典建築の水平垂直の構成に着目し撮影されているのが分かる。
そして実作である〈広島平和記念資料館本館〉(左上)、〈成城の自邸〉(右上)、〈倉吉市庁舎〉(中下)、〈香川県庁舎〉(右下)に反映されているのが確認出来る。
「これら50年代の "渋い" 建築は、ピークを迎える60年代の建築への助走の時代だった。」と豊川さん

 コンタクトシートは台紙にこのように並べられている。60年前に丹下自らが焼いて、切って、貼ったと考えられている。 
(コンタクトシート=フィルムを印画紙に密着させ原寸でプリントしたもの。べた焼きとも呼ぶ) 


 台紙は70数枚、写真は約2,000カットある。
ちなみに展覧会のきっかけは、豊川斎赫さんが以前丹下健三をテーマに論文を書いた際、丹下のご息女である内田道子さんに資料を見に来ないかと誘われこのコンタクトシートを見せて貰った。そして道子さんに頼まれ写真を整理し、いずれしかるべき機会、つまりギャラ間でこれを発表しようと二人で決め岸さんに相談したそうだ。

 3階展示室。


 3つのテーマ、〈都市のコアと建築のコア〉〈大空間への挑戦〉〈伝統との対峙〉の島がある。


 東京大学丹下研究室で学んでいた槇文彦さんも来館(中央)。


中庭の展示は前出の桂離宮を参考にした作品群と、旧〈東京都庁舎〉と〈成城の自邸〉の空撮写真が引き伸ばしてプリントされている。空撮も丹下自らが撮影したもので、かつての東京の風景を空から眺めているような演出だ。

 4階展示室。 
3階同様3つのテーマで島が出来ている。〈RC表現の模索〉〈外部との交流〉 〈50年代を統合する建築から 60年代へのプロローグ〉


自らが編集し‘66年刊行の〈現実と想像 1946-1958〉と、’68年刊行の〈技術と人間 1955-1964〉。
上は今回TOTO出版創設25周年記念出版として刊行した〈TANGE BY TANGE 1949-1959/丹下健三が見た丹下健三〉

 来館した多くの建築家が丹下の目を通した写真を見つめる。




 内覧会にて、左より内田道子、豊川斎赫、岸和郎、木下昌大の各氏。
「コンタクトシートにある桂離宮と香川県庁舎は子供のころ同行していたので、写真がこのようなかたちで日の目を見るとは夢にも思っていなかった。」「このコンタクトシートを通して若かった父の建築への思いや眼差しを感じて頂ければ嬉しい。」と内田道子さん。

【TANGE BY TANGE 1949-1959 丹下健三が見た丹下健三】
会期:2015年1月23日〜3月28日
場所:TOTOギャラリー・間
詳細:www.toto.co.jp/gallerma/ex150123/

シンポジウム
丹下健三没10年『今、何故、丹下なのか』を問う
10 Years After Kenzo Tange - 'Why Tange Now?’
会期:2015年3月22日 14時〜(※丹下健三命日)
場所:建築会館ホール
※事前申込制

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22 1月, 2015

「スイスデザイン展」レポート/東京オペラシティアートギャラリー

東京オペラシティアートギャラリーにて1月17日より開催される「スイスデザイン展」内覧会に行ってきました。

 日本とスイスの国交樹立150年にあわせて開催される本展は、近代デザインの草創期から、その開花を迎える20世紀中頃、そして多様な価値観とアイデアの展開する現在まで、スイスから世界に向けて発信されたプロダクト、グラフィック、建築、インテリアなどにスポットを当て、スイスデザインの全貌を紹介するというもの。


 ウルス・ブーヘル駐日スイス大使。
「機能性、シンプルさ、手仕事的なぬくもりと美しさを愛する気質など、日本とスイスデザインには共通点がある。スイスデザインの大きな流れを理解していただくとともに、スイスという国についても再考いただく機会となれば嬉しい。」


 ブーヘル氏の背後に見えるのは、USMモジュラーファニチャーが今回の展示のために制作した<スイスクロスをモチーフにしたUSMハラー>。本展入口に位置し、国旗自体が最強のデザインとも言えるスイスのデザイン展に相応しい始まりだ。


 もう一つ入口に展示されているのは<ルツェルン応用化学芸術大学による型紙インスタレーションプロジェクト>
日本の型紙をモチーフにして産学協同で作ったフレキシブルに使用できるオブジェ。サンクト・ガレン美術館から資料等を借りる際に丁度展示されていたそう。


 <プロローグ>
日本とスイスが国交を樹立した1864年当時に遡り、両国の交流の始まりを証言する版画や資料を紹介(スイスデザインへの流行る気持ちを抑え、先ずはしっかり歴史を学びましょう!)


 <エアラインのロゴにみるスイス・クロスのデザイン>
スイス・クロスを世界中でなじみ深いものにしたエアラインのロゴに関する資料が展示されている。


 <自然・観光・交通のデザイン> 
ポスターなどを通じて、国をあげて多くの観光客を呼び込んだ観光大国としてのスイスを知る。

 <都市の交通と公共のデザイン> 
スイス鉄道時計と連邦鉄道のポスター。時計は70年前にデザインされ今もスイス連邦鉄道のシンボルとして愛用されている。


 <スイスブランドの物づくりとデザイン>
スイスを代表する8つのブランドの取り組みと、そこで受け継がれるデザイン理念を展示するエリア。


 クリスチャン・フィッシュバッハ
高級インテリアファブリックメーカー。デザイン原画とともに紹介。


 シグ
シンプルな構造とデザインのアルミボトルが世界中で愛用されている。


 スウォッチ
カラフルで革新的デザインをまとったプラスチック製クォーツ時計。
並んでいるのはクラブ・ウォッチコレクションの限定モデルで、左の空ディスプレイには2015年モデルが3月中旬に展示される予定。


 ビクトリノックス
マルチツールのアーミーナイフはスイスプロダクトを代表するアイテムの一つ。プロトタイプや外国の軍隊へ供給したソルジャーナイフなど約200点を紹介。


 バリー
バリーのアイコンであるポスターや、靴、ロゴデザインを紹介。


 フライターグ
カラフルで丈夫なトラックの使用済み幌を使ったバッグ類でお馴染みのブランド。


 ネフ
遊び方が無限に広がってゆく新しい発想の積み木で知られる木製玩具メーカー。


 USM モジュラーファニチャー
USMといえば組み合わせ自由なシステムファニチャー "USM ハラー"。建築家フリッツ・ハラーと三代目経営者ポール・シェアラーが1963年に開発した。


 コネクター製造過程サンプル、パンフレット、色見本メタルパネルなどの資料とともに紹介。


 <マックス・ビルとモダンデザインの哲学>
スイスデザインのみならず、モダンデザイン全般に大きな足跡を残した巨匠マックス・ビル (1908-1994) のグラフィックデザイン、家具などを展示。


 1928年刊行の "新建築" を発見!
バウハウスに入学したてのマックス・ビルが新建築のコンペに応募し、3等案として同誌に掲載された時のもの。当時バウハウスに留学中であった水谷武彦がビルの図面に日本語を書き入れてくれたそう。


 <スイスタイポグラフィーとグラフィックデザインの黄金時代>
20世紀半ばのストイックで厳格なスイスのタイポグラフィ、ポスター、ブックデザインなどが展示されている。次の展示室にある近年のポスターへと続いていくような構成が面白い。


 <スイスデザインの現在>
近年のスイスデザインアワードを受賞したデザイナー19組の作品を紹介するエリア。作品の選定には、アワードの審査員であるアトリエ・オイのパトリック・レイモンドが協力した。


 <アトリエ・オイ>コーナー。
照明器具 "Allegro Assai""oiphorique"や、"Oasis Chair"、"Hive poufスツール" など。


<ル・コルビュジエとスイスデザイン>
最後の展示室。コルビュジエにみられるスイス的な特質を再考し、さらにそこからスイスデザインを考えることをテーマとして構成されており、ネスレ・パビリオンスケッチ、バリー店舗スケッチ、サルブラ壁紙カタログ、シェーズロングLC4等が展示されている。


〈シュウォブ邸〉、〈サヴォア邸〉のコルビュジエ直筆のスケッチも。


【スイスデザイン展】
会期:2015年1月17日〜3月29日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
詳細:www.operacity.jp/ag/exh172/


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21 1月, 2015

木下昌大による集合住宅「AKASAKA BRICK RESIDENCE」

木下昌大 (Masahiro Kinoshita / KINO architects) による集合住宅「AKASAKA BRICK RESIDENCE」の内覧会に行ってきました。場所は港区赤坂6丁目。施主は株式会社アトリウム。

 敷地面積315m2、建築面積200m2、延床面積1,508m2。RC造10階建て。


 2階から10階の各フロアに3住戸が入る全27住戸の賃貸共同住宅。


 ファサードは市松模様で、"目" 自体も煉瓦の透かし積みで市松模様になっている。


 マンションには避難経路としてバルコニーが設けられるが、都心のマンションではそのほかの用途、つまり物干しや寛ぎ空間としてはあまり使われることない。
そして両側のマンションのように水平に連続する単調なファサードが常套となり、画一的な街並みが生み出される。

 1階路面部分にはテナントスペースを設け、既に飲食店が入ることが決まっている。


 市松の透かし積みはエントランスにも。


 エントランスからテナントへは敷地の形状に合わせて庇がせり出している。
右に見える煉瓦は他の煉瓦より小さい通常のサイズで、透かしの間隔も狭くなっている。ファサード全体に使われている煉瓦は特注サイズで幅を広くし、透かしの間隔を開け光の透過を多くなるようにした。


 ダークなエントランスホール。


 廊下もかなりダーク。


 部屋へ入ると一転白いインテリア。透かし積みのスクリーンがプライバシーを確保しつつも採光し、インテリアのアクセントにもなっている。
この一室は仲介会社がモデルルームとして家具を置いている。

室内はオーソドックスな設計を求められた。各住戸は41m2前後の1LDKで、家賃は18万円台から21万円まである。

 寝室。数日前に行われた最初のオープンハウスで既に1/3の入居が決まったそうだ。


 透かし積みは開口のすぐ外ではなくバルコニーの奥行き1m分離れているので、半屋外的な空間が出来上がる。下階の同位置は開放されているので地上に向かって口が開いているように見える。


 バルコニーに出てみる。上の写真と逆の状況で、見上げると上階の開口が見える。


 目を転じると徒歩6〜7分の東京ミッドタウンが望める。


 1mの奥行きは避難はしごユニットのサイズからきている。前述のように殆ど避難経路としてしか使われないバルコニーはサイズを抑え、煉瓦を使う分のコストを相殺するようにした。
ちなみに上階の避難ハシゴはこの二層 “吹き抜け空間” を降りていくことになる。

 瀬戸で作られた特注の煉瓦は約5,000個。5つ穴が開けられており、左右は芯を通すためで、中の3つは軽量化のためだ。
煉瓦も経年によって汚れてはくるが、それが単なる古さではなく、風合いを伴うビンテージ感が増す効果があり、建物の価値が落ちにくいと考えた。


他の部屋へ。
 1002号室。



 1003号室。透かし積みの箇所はそのままで、ない箇所はカーテンを使えばよい。



木下昌大さん(左)と、アトリウムの担当亀田竜生さん(右)。
「街の風景を刷新するような集合住宅の新しいプロトタイプを目指しました。内からはカーテンの開閉によるon/offだけではないセミオープンな環境をつくることが出来ました。透かし積みをふかすことで空間が外に拡がっているようにも感じてもらえるのではないでしょうか。」と木下さん。
「後発の会社にとってなかなかチャレンジングな建物は難しいですが、枠の中でもやりたくない。そんな中で木下さんの案はバランスが良く担当としてなんとしても実現させたいと思わせるものがありました。」亀田さん。



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