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25 11月, 2015

土田拓也/ナンバーファイブスによる平塚の住宅「SUKIMA」

土田拓也/ナンバーファイブス (no.555) による神奈川県平塚市の住宅「SUKIMA」(TSC)を見学してきました。

 敷地面積116m2、建築面積56m2、延床面積87m2。木造2階建て。
敷地に黒い箱が二つレイアウトされており、手前は物置でアウトドア用品などが収まる。

ドローンで撮影された上空からの画像でよく分かるが、整形の敷地に変形平面の建物が建つ。
駐車スペースは2台分あるが一方には大きなアメ車が停まれるようにファサードを後退させた。しかしこの変形が内部に変化をもたらし豊かな空間にしてくれる。

 外壁の仕上げはガルバリウム鋼板の下見張り。右手のもう一方の変形させた部分に庭を設けハーブなどを植えた。

 玄関扉を開けるとをモルタル仕上げの土間になっており、そのまま居室に連続していく。
左は納戸で、右上の開口からは南側の明かりが入ってくる。

 大きな玄関ホールはギャラリーのような空間に仕上げていくそうだ。玄関扉は透明ガラスでギャラリー感が増している。
壁や天井は土田さんの作品ではお馴染みの木毛セメント板。

 玄関ホールを抜けると隙間(SUKIMA)のような空間が現れた。


 別角度から振り返ると大きな吹き抜け空間に、床に着いて上が開いた箱と、床から浮いて下が開いた箱二つある構成が分かった。


 一番日当たりのいい場所にソファーを置き庭を愛でたり、読書を楽しむ。
床暖房が備わっているのでそのままラグに座ることも多いそうだ。
 モルタルの床は土間のような雰囲気に。少し段差を設けた右がダイニングとキッチンになる。


箱の内側は天井高を抑え、吹き抜け空間の開放感をより高める演出がされている。

 階段の奥が玄関で、その右に水回りがある。


 水回りも、木毛セメント板とラワン合板で統一。


 2階へ。
上がった正面がトイレ、右側が子供室、左側が主寝室になる。

 階段を上って見返す。両側の箱がそれぞれ下が開いたものと、上が開いたものというのがよく見える。


 子供室。小さめの正方形の開口がいくつか設けられている。左は屋外に開閉し、右の二つは吹き抜けに対して開閉するので、子供室の気配を下に感じさせることができる。


 一度出て主寝室へ。


 主寝室は2面ガラス張り。子供室では、物やモデルさんが小さいので分かりづらかったが、こちらでは天井が低い様子がよく分かる。



 最近よく目にするトグルのスイッチパネルは、土田さんは10年以上前から使っていて、長年使用してもへたりがこないこだわりの物があるそうだ。


土田拓也さん(右)とお施主さん家族。
「箱の高さを抑え、その中の空間や建物自体の高さも低く抑えていますが、箱の隙間空間は十分なボリュームを取ってあります。そのことで場所によって広さや高さの感じ方が変わるメリハリのある空間となり、実際の面積よりも広く大きく感じられる住宅になっていると思います。また建物の高さを抑えることで工費も抑えられるメリットもあります。」


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21 11月, 2015

安部良によるロス・ミクブライドの住居兼オフィス「ノーマルビルディング」

安部良による渋谷区の住宅「ノーマルビルディング」の内覧会に行って来ました。日本在住のアメリカ人プロダクトデザイナー、ロス・ミクブライトさんの住居兼オフィスだ。
(※新建築 住宅特集最新12月号に掲載されている作品です)

 敷地面積123m2、建築面積60m2、延床面積142m2。RC造+木造、地下1階、地上2階建て。
東と南に面する角地に建つ。地下がオフィスで、1・2階が住居。

 ガルバリウム鋼板の素地と、モルタル仕上げの箱がずれながら交互に配されている。


 ずらした箱型が軒下空間や、バルコニーを作り出している。


 まずはオフィス「nomal」へ。nomalはミクブライドさんが2006年に立ち上げた時計ブランド。国内外で発売されている。
元々SOHOで業務を続けてきたが、今回は住居と玄関が別であることを条件だった。「一旦外に出ると気持ちが切り替わるし、気分が上がりますからね。」と話すミクブライドさん

 ミクブライドさんを含め計3名が働くには十分な広さ。
奥にミニキッチンやトイレがあり、更に奥は倉庫になっている。

 エントランス方向の見返し。今後窓にディスプレイなどをする予定。
右のデスクは高めに設置し、立って作業をすることもできるようにした。

 時計を組み立てるミクブライドさん。リリースする腕時計の中にはこだわりのデザイン追求のため、独自開発した技術が盛り込まれているものもある。そのため工場での組み立てができず自社で組み立てるモデルもある。


 オフィスからぐるりと回って住居への階段をあがる。


 引き戸の玄関扉を開けると、右手に主寝室。階段をあがったところがリビングだ。


 玄関の窓際にグエナエル・ニコラさんが作った香水 "CURIOSITY ESSENCE” を発見。ミクブライドさんは日本に来て25年。ニコラさんは同じ日本在住の外国人デザイナーとして大切な友人の一人だそうだ。


 1階主寝室。


 2階リビング。
この空間に合わせてニコラさんにデザインしてもらったというオリジナルのソファが映える。様々なシーンに合わせてレイアウトを変え楽しむことができる。シャンデリアや絵など、これから飾るものをご夫婦で決めていくそうだ。

 リビング奥から振り返る。
左手に水回りと、子供室。半階上がった2.5階にダイニング・キッチンがある。

 水回り。浴室の右側に小さなバルコニーがあり、子供室とも連続する。


浴槽は唯一国産で鋳物ほうろう浴槽を作っている大和重工の ‘Castie’ という商品。「肌触りも見た目の質感も特別で、ミニマルなデザインと本物の質感は今回の建物のコンセプトにもぴったりでした。」と安部さん。


 子供室。一見コンパクトに見えるが、、、


 ベッドに上がるとさらに上のフロアが現れた。アスレチックさながらの空間だが、7歳のニコちゃんには余裕。この部屋を大変気入っているそうだ。

 秘密基地のような遊び場。左から屋上へ通じるので3階の高さにあたる。


 次にダイニング・キッチンへ。


 ダイニング・キッチンは天井も高く、掃き出し窓と4面のハイサイドライトで明るく開放的。
右に少し見えているが、エアコンは全て天井埋め込み型を選択しているので壁がすっきりしている。

 リビング方向を見ると下にも外にも視線が抜け、都心の住宅とは思えないほどの伸びやかな空間。


 ダイニング南側にはバルコニー。その上部のL字型ハイサイドライトも効いている。


 バルコニーは三角形で最大2.5m以上キャンティレバーで突き出していて、下がエントランスの軒になっている。
屋上からは子供室にも連続するので、子供にとっては高低差のある大きな回遊型動線が取れる。


 週末は友人達を招いてBBQをしたりと活用しているそうだ。
周辺のビルには広告やデザイン会社などが入っていて、良い刺激を受けることができる環境。

 屋上からダイニングの見下ろし。


安部良さん(右)と、ロス・ミクブライドさん(左)。
以前から友人関係にあった安部さんとミクブライド夫妻。それぞれ拘りのある三者が意見を出し合い、練り直しながら、完成まで5年の歳月を要したという。「設計は何度も変わったので、初めはどうだったかあまり覚えていません。」と笑いながら話してくれた。



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19 11月, 2015

黒崎敏による港区の住居兼オフィス「TERMINAL」

黒崎敏/APOLLOによる港区の住居兼オフィス「TERMINAL」を見学してきました。
住居部には建物のオーナー家族が住まい、オフィス部には設計したアポロ自身が入居している。

敷地面積128m2、建築面積87m2、延床面積273m2。RC造地下1階、地上3階建て。
1階と地下が賃貸のオフィス。2・3階が住居になるが、土地柄からオフィスライクなシンプルでクールなファサードにした。

  コンクリートの型枠には幅40mmの杉板を使い、比較的細かい目がでるようにした。
2階のルーバーと1階のファサード、支柱には溶融亜鉛メッキリン酸処理されたスチールで重厚感を演出。
手前が住居用、奥がオフィス用のエントランス。


 1階はギャラリーとしても使える。今のところオフィスと言うより、ミーティングなどに使えるフリールーム。隅には水栓やシンクも備わっており、このスペースをどのように活用していくか検討しているそうだ。


 天井はウォールナット、右の壁はコンクリートの杉板型枠、左の壁と床は大判のタイルによってそれぞれ仕上げられている。


 細部に丁寧な仕上げと納まりが見て取れる。


地下。アポロは奥の半分を使用しているが、スペースに余裕があるので他に2社とシェアしている。
1階からは右に見える扉から出入りする。

ドライエリア。スペース効率を考えた場合螺旋階段を設えるのが妥当だが、降りてくる人に心地良い作法を求めるような回り階段になっている。また日光がちょうど良いこともあり、開口に切り取られたこのスペースが小さいながらも一つの建築のように成立している。

ドライエリアの横は黒崎さんの執務スペース。
水回りやタイルなどを扱うFONTE Tradingが、ショールーム的に同居するかたちでディスプレーされたバスタブやシャワー、水栓がユニーク。(もちろん使えません)

住居部の玄関へ。1階は玄関のみで、大容量の収納と奥に納戸を備える。
(Photo: Masao Nishikawa)

 昇ってきた階段を振り返るとがガラスケースの中に入っているようだ。左に1階から吹き抜けになった中庭。右に主寝室や水回りに通じる。


 2階子供室。右の開口からルーバーを内側から見た様子が分かる。将来二部屋に分割も可能になっている。
(Photo: Masao Nishikawa)


 主寝室へはシンメトリーにレイアウトされたウォークインクローゼットの間を抜ける。そして西側の開口からちょうど緑の借景が望める。
(Photo: Masao Nishikawa)


 主寝室から見た吹き抜けの中庭に面したバルコニー。階段室の裏側へ通じ回遊動線を形作っている。
今後中庭にはシンボルツリーを植えるそうだ。

 3階へ。階段室は1階から屋上のペントハウスまでを貫き、光の通り道になっている。


 3階は階段室を中心に、2階同様回遊動線を持つ大きなワンルーム空間。


 南側のダイニングには壁一杯のスチールシェルフを設え、東西に大開口で開放的にした。
左のガラスは通り側でハーフミラーなので外からは見えにくくなっている。

 ダイニングからキッチン側を見る。


 キッチン上部にはトップライト。「日中は全く照明なしで作業ができ、キッチンに立つのが毎日楽しいです。」と奥さま。


 キッチンからはリビング越しに借景を切り取るピクチャーウィンドウ。




 リビングスペースは他より40cmほど天井を高くし3mある。緩やかなゾーニングとゆったりとした気積で寛ぎの空間に。




 中庭を介した開口は2階ではプライバシーを確保しながらも採光し、この3階では思い切り開放しフロアによるシーンの切り替わりを楽しむことができる。いずれ成長したシンボルツリーがここからも見えるようになるかも知れない。


 黒崎敏さん。「敷地のポテンシャルが高いので、お施主さんからは住宅だけでななく、賃貸スペースを設け家賃収入も得たいと望まれました。そして計画段階からまずはアポロに入居して欲しいとお願いされていましたので、自社オフィスとしても考慮しながら進めることができました。」
「上の住居部では中央にレイアウトした階段と構造壁によって、回遊性と緩やかな分節が生まれ家族の程よい距離感と親密感を作り上げられたと思います。」

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